海外はもちろんのこと、日本国内でも、SNS等を通じて徐々に広がりを見せているCBD。
CBD配合のオイルやリキッド、グミ、タブレットなど、多数の商品が続々登場していますので、どこかで目にした、耳にしたという方も多いのではないでしょうか。

CBDとは一体何なのか?と気になるのと同時に、その安全性や違法性などについても気になるところですよね。

この記事では、そもそもCBDとは何か、さらに詳しいCBDの種類など、CBDの基本をお伝えします。

この記事でわかること

・CBDとは
・CBDの違法性
・CBDとTHCの違い
・WHOによるCBDの規制緩和
・CBDの種類別比較表

世界が注目する成分『CBD』

“世界が注目する成分”として、今「CBD」が話題になっています。
しかし、CBDという言葉を頻繁に耳にすることはあっても、その正体についてはまだ知らない人も多いかもしれません。
まずは、CBDとは何か、またその含有成分についてわかりやすく解説します。

CBDとは

CBDは、英語で「cannabidiol」と表記し、日本語で「カンナビジオール」と読みます。

日本国内で耳にするようになったのはここ最近ですが、既にアメリカでは2014年以降に急速に知名度が上昇していました。その理由のひとつとして、2014年1月1月よりアメリカのコロラド州で大麻が全面的に解禁になり、合法化されたことが挙げられます。

CBDの含有成分とその正体

CBDのおもな成分は、自然の植物である大麻(アサ)に含まれている「カンナビノイド(Cannabinoid)」です。

一口にカンナビノイドと言っても、およそ100種類以上も存在すると言われており、1つの独立した成分ではなく、大麻に含まれる化学物質、おもに生理活性物質を総称した呼び方です。

カンナビノイドは、おもに酸素・水素・炭素から構成されており、窒素が含まれていないため、激しい毒性を持つものが多い「アルカロイド」とはあきらかに種類が異なります。

CBDの歴史は紀元前から

CBDの主成分であるカンナビノイドは、すでに紀元前の時代からインド・中国・ローマなどの国々では伝統的な儀式に用いられてきたとも伝えられています。その一方で、痛みの緩和ケアとして医療目的で使われるなど、その用途は多岐に渡ります。

大麻については、医療の分野では以前から盛んに研究が進められており、もちろん現代でも多数の科学者・医療従事者から注目される存在となっています。

危険?日本では違法?

CBD製品を一度試してみたいと思ってはいても、その違法性や危険性について疑問や不安を感じている方も多いはずです。
CBDは、違法性・危険性・安全性について、「THC(テトラヒドロカンナビノール)」と呼ばれる成分とよく比較されることがあります。
そこで、CBDとTHCの違いなど、最低限理解すべき知識について詳しく解説します。

CBDとTHCは麻の代表的な主成分

CBDとTHCは、共に自然の植物である麻に含まれる2大主成分です。
しかし、それぞれの成分の特徴・役割・期待される効果には大きな違いがあります。

 CBD(カンナビジオール)THC(テトラヒドロカンナビノール)
精神面の作用非精神活性
リラックスする
精神活性
気分の高揚(ハイになる)
期待される効果抗うつ、抗不安、肌トラブル改善など鎮痛、神経保護作用など
依存性無し有り
日本国内での違法性合法違法

CBDとTHCの共通点

CBDとTHCはいずれも受容体に対して作用することによって、何らかの影響を与えるという点では共通しています。
化学的な部分では、この2つの成分は体内に存在する「内因性カンナビノイド」とよく似た性質を持っています。
ただし、それぞれ原子配列に大きな違いが生じるため、構造自体もまったく異なるものです。

内因性カンナビノイド

「ECS (エンドカンナビノイドシステム)」と言い、地球上で生きていくために本来備わっている身体調節機能のこと。これによりカンナビノイド受容体と直接相互的に働く仕組み。

CBDとTHCの違い

CBDとTHCは化学構造が非常によく似てはいますが、精神面での作用については大きな違いがあります。
シンプルに言えば、THCは精神活性、CBDは非精神活性です。

THCは、脳神経にダイレクトに働きかけるため、摂取すると一時的に気分が高揚したり、満足感・幸福感が得られることがあります。これがいわゆる「ハイになる」「キマる」という状態です。

一方、CBDを適度に摂取する場合には、THCのようにハイになったり、メンタル面での大きな変化が生じることはまずありません。THCは精神に劇的な活性をもたらしますが、CBD摂取によって得られるのはリラックス効果です。

実際に、WHO(世界保健機関)が以下のように示しています。

CBDには乱用の可能性や個人・公衆衛生上に問題が起こり得る危険性が確認されていない。

出典:カンナビジオール(CBD)事前審査報告書/世界保健機関(WHO)薬物依存に関する専門委員会(ECDD) 第39回会議

精神的な作用で比較すると、THCの方が断然大きな影響を受けることになります。

THCが結合する「CB1」という成分は脳神経に幅広く存在するため、摂取後にメンタルに強い影響を及ぼすのです。感情的な変化のみにとどまらず、味覚・聴覚などの感覚がより鋭く敏感になることもあります。

「CB1受容体との結合力」という観点から見ると、CBDはTHCと原子配列に違いがあり、内因性カンナビノイドの結合力は極めて弱いのが特徴です。

日本国内ではTHCは違法

THCは、海外の一部の国では医療用として認可を受けたケースもあります。
しかし日本国内では、マリファナの主成分であるTHCの危険性について懸念されていることから、違法と位置づけられています。

THCの違法性については、日本の大麻取締法によって定められており、これによってTHCが含まれる医薬品や食品などの使用は全面的に禁止されています。

一方、CBDについては、製品にTHCが含まれていないもの、麻の成熟した種・茎から抽出されたCBDであれば「合法的に問題ない」とされています。
同じ麻由来の成分でも、抽出される部位によっては大麻製品と判断される場合があり、CBDの場合は、麻の穂・葉・根から抽出された成分は禁止されています。

規制緩和のきっかけはWHO

規制緩和のきっかけはWHO
CBDが麻由来の成分であることから賛否両論あるとは思いますが、ある時期からWHOがきっかけで、規制が緩和されるようになりました。
次は、CBDの規制のきっかけやその背景、WHOとの関係について詳しく見ていきましょう。

WHO

WHOとは、英語で「World Health Organization」、日本語では「世界保健機関」と言います。永世中立国のスイスの都市・ジュネーブを本拠地とするWHOの加盟国は、日本も含め194カ国にもなります。
設立のおもな目的は「世界中のすべての人の健康を守り、これを推進していくこと」。
感染症の撲滅、高血圧・肥満・がんなどの疾患に関する国際的なガイドラインの作成、医薬品の適切な供給管理などを行っています。

WHOがCBDに示している見解

「CBDはTHCの代用にはならない」

CBDが植物の麻由来の成分であることから、その安全性や違法性が懸念されていました。

そんな中WHOの報告書によると、人間に対しての安全性について、

動物用医薬品における CBD 弁別モデルでは、THC 代用となることに失敗した。ヒトにおいて CBD は、乱用あるいは依存可能性を示唆する作用を示さない。

と述べられており、

CBDの成分は依存、または乱用の可能性、そのリスクは示さない。CBDの成分がTHCの代用とはならない。

としています。

またCBDは、

脳内への刺激や嗜好性の面で比較すると、その影響を与えることはほぼないであろう。

という見解を示しています。

「疲労感や眠気などの副作用の報告例はない」

同じく同報告書によると、

今のところ、CBDオイルを使用して体調が悪くなったり、眠けやダルさを感じたという例は報告されていない。

としています。

出典:カンナビジオール(CBD)事前審査報告書/世界保健機関(WHO)薬物依存に関する専門委員会(ECDD) 第39回会議

麻薬指定の対象外となったCBD

前述のWHOの報告書に基づき、CBDについて審査されることとなりました。

その結果、

WHO (世界保健機関) においてCBDは麻薬指定の対象外です。
WHOでは2018年6月にCBDの安全性が評価され、国際薬物条約 における麻薬に該当しないことを勧告しています。

とし、純粋なCBDについては、乱用・依存の可能性評価から、「薬物規制の対象外となる」という結論に達しました。
これをきっかけにCBDの安全性と有用性について期待が高まり、世界各国から日本国内まで注目される存在となったのです。

日本でも、日本臨床カンナビノイド学会が、

CBDの安全性は様々な論文で確認されています。
CBDに関する132論文の副作用レビューでは、動物とヒトに対して安全性が高いという評価を受けています。

と述べています。

出典:日本臨床カンナビノイド学会編「カンナビノイドの科学―大麻の産業・医療・福祉利用―」築地書館(2015年10月発売)より一部引用された小冊子

CBDの種類は4種類!比較表をチェック

一口にCBDとは言っても、単一CBD、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム、アイソレートの4タイプに分けられ、それぞれ異なる特徴があります。
そこで、CBDの種類についてそれぞれの特徴の違いを見ていきます。

 単一CBDフルスペクトラムブロードスペクトラムアイソレート
成分製品に含まれる成分がCBDのみCBD以外のカンナビノイドの種類も多く含んでいるフルスペクトラムからTHCの成分はすべて取り除いた上で、複数のカンナビノイドを幅広く含むフルスペクトラムからTHCの成分はすべて取り除いた上で、複数のカンナビノイドを幅広く含む
特徴製品種類が豊富
初心者向き
効果を感じやすい長期的な効果持続が期待できるCBDのみを集中的に摂取可能
フレーバーが選べる単一CBDより苦い味やニオイを感じやすい無味無臭
向いている人初心者
安さを求める人
より効果を感じたい人効果持続を求める人CBDのみを集中的に摂取したい人
CBD以外の成分が苦手な人
無味無臭のCBD製品を探している人

単一CBD

製品に含まれる成分がCBDのみであるタイプのことを「単一CBD」と言います。
他のタイプよりも精製工程がシンプルなので、CBD製品の種類も豊富。最もポピュラーなタイプで、初心者に向いています。

メリット

・初心者にとって吸いやすい
・価格が安い
・多くのメーカーで製品化されている

デメリット

・耐性が付きやすく、効果が感じづらくなる
・高濃度が少ない

フルスペクトラム

フルスペクトラムとは英語で「Full Spectrum」、日本語で「全ての領域」を意味します。フルスペクトラムタイプは、「CBD以外のカンナビノイドの種類も多く含んでいる」製品のことを指します。
※植物の麻には、CBDの他100種類以上ものカンナビノイドが含まれており、CBDの他にはテルペン・CBV・CBC・CBG・CBNなどの成分があります。

メリット

・耐性が付きにくく、効果を感じやすい
・低濃度でも効果を感じやすい
・高濃度もある

デメリット

・高濃度はむせやすい
・単一CBDより価格が高い
・単一CBDより味が苦い

ブロードスペクトラム

ブロードスペクトラムの「ブロード」とは、英語で「幅広い」「広々とした」という意味があります。
ブロードスペクトラムは、「フルスペクトラムからTHCの成分はすべて取り除いた上で、複数のカンナビノイドを幅広く含む」製品のことを指します。
ただし、ブロードスペクトラムタイプのCBD製品の種類はまだ少なく、後出のアイソレートと比較すると、味やニオイを感じることがあります。

メリット

・耐性が付きにくいので、長期的な効果持続が期待できる
・オイルやグミなどの経口摂取製品が多い

デメリット

・製品種類が少ない
・味やニオイを感じやすい

アイソレート

アイソレート(isolate)とは、日本語で「分離」を意味します。
原材料の麻からCBDの成分の濃度を99%以上で分離した高純度の結晶粉末、これがアイソレートです。別名「CBDクリスタル」とも呼ばれます。

アイソレートを抽出するのにもっともよく使われる手法は「超臨界CO2」と呼ばれる方法です。原材料の麻からCO2を抽出した後、さらに酸を取り除き濾過を行うことによって、CBD以外の成分をカット、脂肪分やワックス成分を除去し、高純度のCBD粉末が残ります。

アイソレートタイプのCBD製品は、他のタイプと比較すると純度がもっとも高く、それ以外の成分を摂取することはありません。ただし、作業工程に手間がかかるため、アイソレートタイプは種類が少ないのが現状です。

CBDのみを集中的に摂取したい人、CBD以外の成分が苦手な人、無味無臭のCBD製品を探している人には、アイソレートが向いています。

メリット

・無味無臭
・何に混ぜても服用できる

デメリット

・製品種類が少ない

まとめ

いかがでしたか?
ここでは、CBDの基本中の基本となる、CBDの成分や違法性、CBDの種類などについてお伝えしました。
それぞれメリット・デメリットがありますので、自分に合ったタイプの製品を見つけることが第一歩です。